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執筆者の写真秋山妙子

一人で、幸福に生きる


一昨年の6月(2017年ですな)、訳あって1泊2日で長崎の平戸へ弾丸で行ったんです。

その訳は

「あのさー、うちの母親、東京に一人で住み続けるのもなんだから、どっか移住させたいと思っててさ、

なんか平戸良さそう!

って思って、平戸の役所とやり取りして、良さげな物件いくつか押さえてあるんだけど、あたしなかなか行けなくてさー、妙ちゃん見に行って来てくれない?」

と、パリ( パリ!! )に住んでる友達から連絡があったのだった。

しかも彼女は、

平戸に行った事が無い

のだった。私も行ったことありません。笑

いやいやいやいや、物件見るとか、そんな責任持てないよ

と言ったら、

「あー、良い良い、適当に町の感じと、人の感じと、あと家の感じ、改装するとするとどのくらいかかるとか、そんなことくらいでいいから。トイレは水洗が良いんだよね、あとうちの母親、車運転できないからさ」

てな訳で、役所の人と、

7件だったか8件だったか、色んな家をひと通り、見てきたわけです。

個人的感想で言えば、かなり良い感じだった。

町の人も穏やかで、移住してくる人も自然に定住している模様。

役所の人も、空気のように優しい。

(留守電に入れた私の声を聞いて、「20代の人が来る」と思ってたらしいので、実物見て驚いたそうです)

暮れなずむ夕方、町中の素敵な坂をさんざん歩き回り、

小さなビジネスホテルに戻った夜、役所の女の子から電話があった。

「蛍が綺麗な場所があるから、行きませんか」

彼女は仕事が終わってからマイカーで、わざわざ迎えに来てくれて、

私たちは真っ暗な川端から車を降りて、真っ暗な川の欄干で、水草の中とその周りにヒカヒカと光る沢山の蛍を黙って眺めたのだった。

「どうだった」 「うん、かなり良かったよ」

と友達に伝えて、

そしてその夏。

物件にだいたいの目星をつけた友達はパリからやってきて、東京から母親と合流してどこに住むかを決め、夏休みに家族で長期滞在しながらDIYでもって、小さな家を仕上げてしまった。

その母:よりちゃん。73歳。バツイチで子供2人を育て上げた明るいおばちゃん。 私も一緒に銭湯に行った仲です。

よりちゃん、「ふーん、いいじゃない」と物件を決定し、

「一人も知り合いの居ない」平戸に引越して、ご近所と仲良くし、

保健所から殺処分前の犬を引き取って飼い(いざとなったら友人が引き取る了承済み)、

「ひとりだとぼけるから、カフェでもやれば?」という娘のすすめに従って、「そうねえ」とあまり深く考えずに応接間と玄関前の手作りテラス的な場所でカフェを開始、

カフェといっても普通の食器で、朝は食パンと卵と珈琲で380円、昼はご飯とお惣菜で680円、みたいなもの。

家に帰ると玄関先に野菜が置いてあったり、近所の人がただで机を作ってくれたり、しているそうで、

ついに役所の人から 「平戸に移住した人を撮影したいってテレビ局から依頼が来てるんですけど、いかがでしょうか?」

って連絡が来て、テレビ朝日の何かの番組に出るそうです。

で、役所の人に 「お母様、以前お会いしたときより若返って、お肌もツヤツヤになってて驚きました」 と言われたそう。

よりちゃん、凄い!!

ひとりで、どこでも人生を楽しめる、決断と行動とコミニケーション能力。

聞いてて胸がすっとしました。

まあ娘も娘だが。。。

さっき、10年日記を見ながら、「一昨年平戸に行ったなあ・・・」と考えてるところに彼女から電話があって、よりちゃんがテレビに出る話を聞いて、盛り上がったところ。

見本になるモデルが生きてるってのは良い。

私も毎日を開かせて行きようと思ったのでした。

写真は2017年の平戸です。

おやすみなさい。


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