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執筆者の写真秋山妙子

人体展レポート


月曜の朝そうそうですが、人体展のことを書きませう。

(5月の半ばの平日に行きながらまとめるのを怠っておりました)

込み具合まあまあ、修学旅行生がわんさか。

ダビンチの解剖筋肉デッサンが原寸大以上の大きさに力いっぱい拡大された壁を見ながら歩きましたが、このくらい拡大されていると見がいがあります。

そしてそれを見ながら勝手気ままに発声される感想も面白かった。

「うわ、なにこれ、進撃の巨人じゃね?」(修学旅行生:男子)

「なんだ?このぶらさがってるの」(表層筋です)(妻に聞く旦那さん)

色々と濃い展示でしたがグロはなく、

あったとしても見世物小屋の別料金ゾーンのような別小道を進むとちょっと暗い小部屋にスポットを浴びたホルマリン漬けの臓器があるだけで、

それさえも 「ここからは本物の臓器の展示があります。ダメな方は回避してください」的な注意書きがしてあり、平和でした。

膨大な展示情報の中で、深く記憶に残ったものがいくつか。

まず顕微鏡の進歩が良かった。レーウェンフックの単式顕微鏡は手作業で磨いた直径1ミリの小さなレンズでその倍率なんと500倍近く。

「一体、1ミリのレンズをどうやって磨いたんだろうか?」

と友達と話しながら帰り、家に帰って調べたら、彼はレンズの作り方を秘密にしていたそうですけど、細いガラス管の先端を溶かして小球状にしていたらしいです。

それにしても手作りで直径1ミリで倍率ほぼ500倍とは。

それから萬年 甫(まんねん はじめ)先生によるゴルジ染色法による脳の完全な図譜の手書き版が良かった。

展示会場は、どうでも良い展示以外は全て撮影禁止。これを写真に収められないのは本当に残念でした。ポスターになってたら、買いたかった。

細い細いピンク(だったかな)のペンで緻密に描かれた絵は、内藤礼の繊細なドローイングや、アールブリュットによくある、作業としての丁寧な繰り返しを髣髴とさせ、これは葉書でも良いから売って欲しかった(印刷の出来にもよるけど)

一番迫ってきたものは、受精してから、いわゆる胎児の形になるまで、細胞分裂しながら体液の流れらしきものができ、そこに心筋が淡く脈打つようになり、心臓、肝臓と出来ていく様子。

二つの命から発生し育っていく命を、パネルとモニターを順に追いながら丁寧に見ていたら、黄色い感情が熱を持って体の芯を突き上げ顔に届いた。 まぶしいようにところにいるように次から次へと涙が出て出て、ちょっと困った。

あとは、「ひらめいた時」と「ぼーっとしている時」の脳の動きがほぼ似ているという活動している神経を比べたパネル、

ぼーっとしているときは意識のうちに記憶の断片をつなぎ合わせているらしく、しれが意識化でなされているというくだりで、

数学者岡潔が「何ヶ月も考え抜いてくたくたになったときに開けた場所に出たりすると、頭の中で何かが同じ方向にむかって動いている感じがして、そういうときに結論が出る」と言っていたのを思い出して納得しました。

最後の洞窟は内臓同士が信号を送っている様子をイメージした、予算をかけた文化祭みたいなインスタレーションでしたが、送りあっている信号が「子作りに励もう」などという日本語だとちょっと露骨で大味、ここでサブリミナル効果みたいなのを使えないのかしら、などと考えました。

人体の神秘とはこれいかに。

まだ行っていない人は是非どうぞ! 写真は上から、 骨を作る3種類の細胞 心筋細胞のミトコンドリア 神経細胞の軸索 です。 ではでは、今日も良い日に。


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